このたび、栃木県知事より任命され、地方独立行政法人栃木県立がんセンターの理事長兼センター長に就任いたしました。栃木県内のがん医療を牽引すべく、全身全霊でがんセンターの運営に携わる所存です。
当センターは「二つの顔」を持っています。一つは、実際にがん患者さんを診療するがん専門病院としての顔であります。症例数が少ないため、豊富な治療経験と高度な専門的知識が求められる骨軟部腫瘍を含む希少がんの診療や、可能な限り患者さんの体への負担を減らした低侵襲治療(ロボット支援手術等)の提供も行っております。また、最新のゲノム情報を利用したゲノム診療も、国立がん研究センターとの連携を密にして行っております。
もう一つは、都道府県がん診療連携拠点病院としての顔であります。栃木県内には、当センターを含め、国が指定するがん診療連携拠点病院等が8箇所と、栃木県が指定する栃木県がん診療連携拠点指定病院及び栃木県がん治療中核病院が10箇所あります。当センターは、県拠点病院として、これらの病院や医師会、歯科医師会、看護協会等の関係団体と連携して栃木県がん診療連携協議会を運営し、本県におけるがん医療の均てん化に取り組んでおります。また、県が策定した「がん対策推進計画」に基づき、がん医療の質の向上、がん患者さんや御家族に対する支援等、がん対策の中心を今後とも引き続き担って参ります。
2021年度から進めてきた5大事業(病院事業、研究事業、臨床研究管理事業、バイオバンク事業、がん対策推進事業)について、本格的に事業展開していくため、今年度、研究所のリニューアルを行いました。研究事業の更なる充実を図るため、新たにクロスアポイント制度を利用し、国立がん研究センター研究所の近藤格先生を所長にお招きしました。がんの個別化医療を中心に、臨床に密着した研究を強化して参ります。
さらに今年度から、長崎大学医学部医学研究科と連携大学院協定を結び、当センターで行われた研究で、学位の取得も可能となりました。
今後は、新しいがん医療を提供する際に重要となる臨床試験管理事業、臨床検体をアカデミアや医療関係の企業に提供するバイオバンク事業を推進するとともに、研究で得られた知見を素早く臨床に適応する仕組み(TR:トランスレーショナルリサーチ)の構築を目指して参ります。
県民の皆様に最新で質の高いがん医療を提供できるように精一杯努力し、当センターが県民の皆様から一番頼りにされる病院となることを目指して運営して参ります。医療機関の皆様には今後とも、御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
2022年4月1日
2022年地方独立行政法人栃木県立がんセンター 理事長/センター長
尾澤 巖
参照:* 理念・基本方針