栃木個別化医療研究所

ごあいさつ

研究所長 近藤 ただし

2022年4月1日付けで、栃木県立がんセンター研究所の所長を拝命いたしました近藤格です。どうぞよろしくお願いします。当センターは、1986年に栃木県のがんの高度専門病院として開院し、2016年には地方独立行政法人となりました。研究所は2000年に設立され、がんの罹患率が増し社会情勢が変化する中にあって、約半世紀にわたって当センターを支える研究の基盤としての役割を担ってきました。当研究所所長として県民の皆様のお役に立てるよう、精一杯努力してまいる所存です。
がん研究は今世紀に入り新たな局面を迎えました。遺伝子・タンパク質を網羅的に調べる技術が発展し、転移・再発・治療抵抗性といった臨床的に重要な事象の分子背景の理解が一気に進みました。また、今までの基礎研究の成果から新しい抗がん剤が次々と開発され臨床に応用されるようになりました。その結果、個々の患者さんに最適な治療を施す個別化医療が求められるようになりました。がん研究および医療のこのような時代の流れに対応し、「あの研究があってよかった」と後の世代に思われるような臨床に役立つ研究成果を挙げるために、当研究所は以下のようなアプローチを取りたいと考えています。


基礎と臨床の連携:臨床の疑問点を基礎研究の技術で解決し、基礎研究の成果を治療法の開発につなげるという、基礎と臨床の双方向の研究体制を構築します。臨床と基礎のそれぞれにがんの専門家がそろうという、がんセンターならではのユニークな研究環境を活かし、臨床に還元できる研究成果を目指します。


プロテオゲノミクス解析と患者由来がんモデルを用いた研究:腫瘍組織・細胞における分子の異常をプロテオゲノミクスの最先端の技術を駆使して網羅的に調べることで、治療方針の決定に役立つバイオマーカーや創薬標的の候補を発見します。臨床検体は情報の宝庫であり、調べれば調べるほど新しい発見が期待できます。分子レベルの網羅的な解析をする一方で、細胞株やゼノグラフトなどの患者由来がんモデルを臨床検体から樹立します。そして、新しく見つかる分子異常の意義や抗がん剤の臨床応用の可能性を調べます。さらに、患者由来がんモデルを用いた薬効評価系を個別化医療に役立てます。


このような研究を効果的に進め、研究成果を事業化につなぎ臨床へ還元するために、国内外の学術機関そして企業と連携して研究を進めたいと考えています。がん医療の未来を変えるような大きな発見を目指して努力してまいりますので、県民の皆様のご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。


2022年4月1日
栃木県立がんセンター
研究所長 近藤格