栃木県立がんセンターは、院内感染を抑制し、医療の安全管理、質の向上および本院基本理念である「学問に裏づけされた最高の技術を愛の心で」を実現します。これらを実現するために感染対策委員会は、医療安全の観点から医療行為に関連した感染症の予防と制圧、医療従事者の職業感染対策を担当します。
感染対策委員会は、昭和63(1988)年に防疫委員会の院内感染小委員会として設立し、平成20(2008)年から感染対策委員会として感染制御医師(ICD)、感染管理担当看護師とともに、臨床検査部・細菌検査室、薬剤部と連携して、全病院的規模での医療関連感染予防制圧を目的に活動しています。また、医療従事者の健康管理にも役割を負っています。
感染対策委員会では、すべての医療従事者を対象に、擦式速乾性手指消毒薬の頻用による手指衛生の徹底や手袋をはじめとする個人防護具の適切な使用について情報を提供しています。感染対策はすべての医療従事者がすべての現場で心がけなければなりません。各医療現場で施設内感染防止の取り組みを行なう体制を整備し、その中心的な実践活動の役割を担う集団として感染対策チーム(以下「ICT」という)を設置しています。
構成員は、院内のすべての組織・部署から選任された職員で成り立っています。 各病棟においてはICTリンクナースも任命されており、感染対策の実践モデルとして感染対策を推進、感染発生状況や感染対策の実態を把握し、感染対策の方針を現場に周知徹底しております。
感染対策委員会では、細菌検査室から提供されるすべての微生物検査について、結果を確認して、アウトブレイクの早期検出と抑制を図り、また、散発的な感染症や耐性菌の発生状況についても把握しています。
日常的に当院における感染症の発生状況を把握するシステムとして、対象限定サーベイランス(カテーテル関連血流感染、手術部位感染、尿路感染等)を必要に応じて実施し、その結果を感染対策に生かしています。
医療従事者の健康管理は患者安全の第一歩です。感染対策委員会は、病院と協力して、すべての医療従事者の麻疹・水痘・ムンプス・風疹の抗体の有無を把握し、必要に応じてワクチン接種を進めています。また、インフルエンザワクチンは毎年秋に90%以上の職員(委託業者も含め)が接種しています。
病院内で生じる恐れがある様々な感染症(いわゆる院内感染)を未然に防ぎ、万一院内感染症が発症した場合には、迅速かつ適切な対応をとり、安心、安全で、良質な医療をサポートすることが感染対策チーム(ICT)の役割です。
感染対策チーム(ICT)は、2007年7月に発足しました。感染対策委員会は、病院幹部を含め関係各部門の責任者で構成され、毎月1回開かれています。
その下部組織、実働部隊としてインフェクションコントロールチーム(ICT)があります。
感染制御医師(ICD)を含む医師部門を始め、感染管理担当看護師を含む看護部門、薬剤部、検査部より構成されています。その任務は、感染症についての発生状況調査と報告(サーベイランス)、流行(アウトブレイク)が発生した場合の収束に向けた対応、日頃の感染症の発生予防と対策についての検討および医療従事者の教育などです。お互いの専門分野を生かしてチームで協力し合い、根拠に基づく感染対策に対する様々な事項の提案、実践、評価を行っています。
そして、病棟などそれぞれの部署において感染対策の実践を推し進める役割を担うのが、リンクスタッフです。リンクスタッフ会議は、ICTのメンバーも参画して毎月1回定期的に開かれています。
超音波ネブライザーサーベイランス
看護助手研修
ICTリンクナースによる講義