希少がんセンター設立について
栃木県立がんセンターでは、希少がんに対する診療・研究を迅速かつ適切に遂行する拠点として2020年4月に希少がんセンターを設置しました。充実したものにしていきたいと考えています。
栃木県を中心とする北関東地区には、希少がんについて相談・診療できる病院が少ない状況にあります。そのため、希少がんに悩み、苦しんでいる患者さん、ご家族がいわゆる“がん難民”になっていることが多くあります。我々は、患者さんの苦痛を軽減し、ご家族の悩みを和らげることができるように努力したいと考えています。
希少がんセンターの取り組みについて
希少がんセンターでは、継続的、積極的に下記の取り組みを進めてまいります。
患者数が少ない、まれながんである希少がんは、「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会(平成27(2015)年8月)」で、”概ね罹患率(発生率)人口10万人当たり6例未満”で、”数が少ないため診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きい”二つの条件に該当するがん種と定義されています。
これらは、症例が少ないために、標準的な診療方針を根拠に基づいて示しにくい状況にあります。また、臨床的・基礎的な研究が進みにくいのが現状です。
希少がんは、いずれもまれな腫瘍であるにも関わらず、その種類は多く、すべての希少がんを合計するとがん全体の15~22%を占めると言われています。つまり、がん患者10人の内、2人が希少がんとされていて、希少がん全体で考えると決してまれとは言えません。世代別にみると、小児からAYA世代まででは、希少がんの合計がさらに多くを占めるとされており、課題がさらに大きいと言えます。
厚⽣労働省「希少がん医療・⽀援のあり⽅に関する検討会」資料によると、希少がんに属すると考えられるものには以下のがん種があります。(当院で診療できるがんを示すものではありません。)
【あ⾏】悪性胸膜中⽪腫・悪性⾻巨細胞腫・悪性末梢神経鞘腫瘍・悪性腹膜中⽪腫・悪性リンパ腫・アダマンチノーマ・横紋筋⾁腫 【か⾏】外陰がん・回腸がん・滑膜⾁腫・眼窩⾁腫・眼瞼腫瘍・眼腫瘍・眼内リンパ腫・眼付属器リンパ腫・嗅神経芽細胞腫・胸腺がん・胸腺腫・空腸がん・⾎管⾁腫・原発不明がん・⼝腔がん・後腹膜の⾁腫・肛⾨がん・⾻巨細胞腫・⾻原発⾎管⾁腫・⾻原発線維⾁腫・⾻原発平滑筋⾁腫・⾻軟⾻腫・孤⽴性線維性腫瘍 【さ⾏】⼦宮の⾁腫・視神経腫瘍・GIST・脂肪腫・脂肪⾁腫・⼗⼆指腸がん・消化管間質腫瘍・⼩腸がん・⼩児の⾎液・リンパのがん・⼩児の固形悪性腫瘍・⼩児の⾁腫・神経鞘腫・神経線維腫・神経内分泌がん・神経内分泌腫瘍・膵・消化管神経内分泌腫瘍・脊索腫・線維⾁腫・腺様嚢胞がん 【た⾏】体幹の⾁腫・単純性⾻嚢腫・淡明細胞⾁腫・腟がん・聴器がん・デスモイド腫瘍・頭頸部の⾁腫・動脈瘤様⾻嚢腫 【な⾏】内軟⾻腫・軟⾻⾁腫・軟部の⾁腫・乳房外パジェット病・尿膜管がん・粘液線維⾁腫・脳腫瘍 【は⾏】胚細胞腫瘍・⽪膚腫瘍・⽪膚隆起性線維⾁腫・副腎がん・腹膜がん・平滑筋⾁腫・⾻の⾁腫 【ま⾏】慢性リンパ性⽩⾎病・脈絡膜悪性⿊⾊腫・明細胞⾁腫・メルケル細胞がん・網膜芽細胞腫 【や⾏】ユーイング⾁腫・有棘細胞がん 【ら⾏】類上⽪⾁腫
希少がんセンターでは、希少がんについてのお問い合わせをお受けいたします。
患者さん、ご家族・一般の方からも、医療関係者の方からの相談も可能です。以下の必須項目を記入のうえ、お問い合わせ内容欄にご記入ください。
原則として、担当者より7診療日内にメールで返信をいたします。相談は無料です。相談内容の秘密は厳守いたします。
お問い合わせをされる方は以下の内容をご記入し、下記アドレスまでお申し込みください。
※下記の項目を記入いただけない場合には回答することができません。予めご了承ください。
・姓 名:
・メールアドレス:
・電話番号:
・患者さんとの続柄:
・患者さんの年齢:
・性別:
・診療を受けている病院名:
・疾患名:
JCOG1502C: 治癒切除後病理学的Stage I/II/III小腸腺癌に対する術後化学療法に関するランダム化比較第III相試験 (J-BALLAD)
※詳細はJCOGホームページをご参照ください。http://www.jcog.jp/basic/clinicaltrial/index.html
治癒切除後病理学的StageI/II/III小腸腺癌(十二指腸癌/空腸癌・回腸癌)を対象に、手術単独に対する術後CAPOX療法(カペシタビン+オキサリプラチン)の無再発生存期間(RFS:relapse-free survival)における優越性を、ランダム化比較試験にて検証します。
現在のところ、希少癌の一つである小腸癌の根治切除術後には経過観察が標準的になされておりますが、先進医療Bのこの臨床試験に参加登録することでランダム化により術後補助化学療法を受けることができる可能性があります。
希少がんについてのお問い合わせフォームよりご連絡ください。疾患名に、上記【疾患名】:小腸腺癌(十二指腸癌/空腸癌・回腸癌)と記載ください。
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科 科長 国立がん研究センター 希少がんセンター センター長 川井 章 先生
|
![]() |
※見出しをクリックすると内容が開きます。