放射線治療対象となるすべてのがん
医療用直線加速装置(リニアック)により、X線または電子線と呼ばれる放射線を体外から照射します。疾患によっては、手術や抗がん剤と組み合わせて用いることもあり、スケジュールは様々ですが、2~8週程度の治療期間が必要です。放射線治療単独であれば通院による照射も可能です。基本的には、平日に1日1回照射を行います。1回の治療時間は5~20分です。様々ながんに対して治療を行っており、各領域の臨床試験も積極的に取り扱っています。
照射範囲内の放射線強度を変化させ、隣接する正常組織の線量を抑制し、標的病巣の形状に合わせた照射が可能となります。当センターでは、前立腺がん、子宮頸がん、頭頸部がんを中心に行っています。
小さな病巣に放射線をあてる場合や、正常組織にがんが隣接している場合は、患者の位置決め(セットアップ)が非常に大切です。そこで、リニアックに搭載された診断用X線装置を用いて、照射開始直前に治療台にて、CT画像(CBCT:Cone-Beam Computed Tomography)を撮影し、基準となる治療計画CT画像と位置照合を行います。ミリ単位での位置照合が可能となり、正常組織に放射線があたることを最小限にし、治療を安全に行うことができます。
孤立性肺腫瘍(組織学的に肺がんとの確定診断に至った場合、あるいは組織的に肺がんとの確定には至っていないが臨床的に肺がんの可能性が濃厚と判断される場合)に1回大線量で数回の照射を行います。準備期間を除くと数日間の治療です。
治療開始日の前日までに放射線治療計画用CT画像を取得し、三次元治療計画を行います。臓器・組織の位置情報と密度(電子密度)を考慮して線量計算を行うことで、精度の高い外照射が可能となります。16列のエックス 線検出器を搭載しており、高速撮影も可能です。
治療計画CTで撮影した画像をもとに、標的と正常組織を定義し、標的に対してビームの入射方向や照射野及び投与線量を規定し、線量分布を取得します。その後、線量体積ヒストグラム(DVH:Dose Volume Histogram)により、標的への線量均一性や正常組織への線量がどの程度付与されるか評価します。
リニアックと同様の幾何学的配置を有し、エックス線透視を使って二次元の治療計画が可能です。主に、単純な位置決めや、緊急を要する照射の際に使用します。上肢、下肢、体幹部の骨病変の治療計画に有用な装置です。
粒状の小さな放射性物質イリジウム-192を用いた腔内照射を実施しています。主に、子宮頸がんを対象としており、あらかじめ子宮腔内に器具を挿入し、その内部に小線源を一時的に配置する治療法です。医師をはじめとしたスタッフの被曝を防止するために、遠隔で小線源を操作することから、ラルス(RALS:Remote After Loading System)と呼ばれています。画像誘導小線源治療(IGBT:Image-Guided BrachyTherapy)と呼ばれる、腫瘍に高線量を照射しつつ、膀胱・直腸等の正常組織に対する線量を正確に評価できることが特徴となります。また、砕石位(婦人科検診と同じ体位)を保持したまま、器具の挿入、CT撮影、三次元計画、照射等の一連の手技が同一の部屋で可能となり、より安全な治療を提供することができます。
新規受け入れを一時的に止めています。
放射性ヨウ素-131カプセルを経口内服します。分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん)の甲状腺全摘後で必要な症例に対して隔離入院または外来で実施しています。甲状腺全摘後の補助療法や、再発・転移病変の制御に用います。入院の場合は3から5日程度の入院が必要です。治療前2週間のヨウ素制限が必要です。近年は取扱い施設が減少しているため、全国的に6から12ヶ月を超える入院待ちが必要となっています。入院による大量投与については県内唯一の実施施設で、近県の治療患者さんの受け入れも行っています。
放射線治療は、月曜~金曜日の週5日の治療が原則で、土日祝日はお休みです。放射線治療(外照射)は、1回10~15分ほどで終了します。多くの方は、外来通院しています。
放射線治療科では、仕事を続けながら放射線治療を両立できるよう、朝早い時間帯に放射線治療を行っております。また、個々の患者さんの多様なご要望にも柔軟に対応しています。ぜひ、ご相談ください。
栃木県内の放射線治療室の医師、看護師、診療放射線技師、医学物理士があらゆる分野で情報を交換し、知識と技術の向上に努めています。